2022年8月31日水曜日

【生後853日】飴デビューの恐怖【2歳4ヶ月1日】


飴デビューをしたら怖いことになったから聞いてほしい。


今日は私のスマホが調子が悪いため、携帯ショップに行った。


説明やら何やらでカウンターにずっといたら、2歳ですもの、そりゃあ飽きてくる。


走り回られたら話どころではなくなると考えて、今日はバギーに乗せていたんだけど、飽きてくると甘えん坊さんになって、抱っこコールが止まらない。


それで途中から膝に乗せると、すぐにご機嫌になったのだが、そこで発見してしまったのが、カウンターの端にあった飴のかご。


「これはなあに?」


「飴だよ。」


「こうちゃんの?」


「ううん、大人の。」


「しょっかあー」


私がよく「そっかー」と言うようで、こうちゃんも人の話を聞いた後でよく「しょっかあー」と言う。


その場合、ちゃんと理解している確率が高いのだが、今日は好奇心が勝ってしまい、


「あめー。こうちゃんもー」


が頻繁すぎて全然店員さんも話が出来ない。


それで私は


「よし、飴デビューしてみるか」


と1つ口に入れてあげた。


飴の何たるかをまだ知らぬ2歳児は、いきなりガリガリと噛み砕き始めた。


まあ、これなら喉に詰まらせる心配もない。


しばらくすると2個目を欲しがり、すったもんだの末、与えた。


またしてもガリガリやっている。


念のためスマホのデータをコピーすることになり、また時間があいて飴を欲しがる。


再びのすったもんだの攻防を経て、これで最後ということになり、飴のかごは店員さんが隠してくれて、3つ目のターン。


今度は静かだ。


やっと舐めるという味わい方に気づいたのか…


なんて考えていたら、こうちゃんがそっと私にしがみつく動作をした。


ハッとして顔を見たら、真っ赤。


咄嗟にタッピングした。


2回やったところで向かい側の店員さんが冷静に


「あ、出ましたね」


この店員さん、お子さんが4人いるそうで、さすがの落ち着きっぷりだった。


いつかは初めて飴を口にする。


危険はあるけど、そばについて見ていれば大丈夫。


そう思っていたけれど、怖いのは詰まらせたサインが予想と違ったこと。


ジタバタするとは限らないのね。


硬直する訳でもなかった。


あの、そっとしがみつこうとしたのを見逃してたらと思うと、後から怖くなった。


あの店員さんなら、前から見ていて気づいてくれた可能性もあるけれど。


介護の先輩は、若い頃に別の施設で働いていた時、利用者さんがお煎餅を喉に詰まらせて亡くなるのを遠目にだが見てしまったそうで、


「窒息は怖いよ…顔が土みたいな色になって、本当に一瞬で死ぬ…」


と暗い顔で言っていた。


重味がすごかった。


今日は無事に危険を回避できて良かった。


次回またこうちゃんが飴を口にする時も、ちゃんと見ているようにする。


キャラメルとかも怖いよね。


私自身は幼少期に何度かイカを詰まらせているから、イカも注意だ。


なんか考えてみたら危険はそこらじゅうにある。


週に2回は道路に飛び出して轢かれそうになってるし、今は割と大変な時期なのかもしれない。


2022年5月8日日曜日

【生後738日】何も手伝わせてくれぬ。【2歳0ヶ月8日】


気づけばもう2歳。


あっという間である。


最近のこうちゃんはというと、イヤイヤ期ではないけれど、「ぃやだよぅ」という言葉は覚えた。


「まだ」と「また」も使いこなしている。


絵本を一冊読み終わったら、そそくさと次の一冊を持ってきて


「これー❤またー🎵」


ブロック遊びに夢中な時に「ごはんにしよー🎵」と誘うと


「ぃやだよぅ。まだー、これー!」


とブロックを掲げて見せてくれる。


まあ、最終的にはごはんの魅力には勝てないんですけどね。


ごはんそのものの魅力もそうだし、自分のごはんを台所からテーブルまで自分でそーっと運ぶ行為にも抗えない魅力があるらしく、


「これ運んでくれる?」


と声をかけるとブロックなんざすぐさま放り出して走ってくる。


時期によって違うんだけど、白米から食べたい時とおかずから食べたい時があって、ちょっと進みが悪いから促そうかと思って私がスプーンに手を伸ばすと


「まめー!」


だめらしい。


更にこうちゃんが白米モードなのにおかずを薦めてしまうと


「ぃやだよぅ❤️」


やだとは言っているのだがお顔はにこにこなのが妙である。


やだを使いこなしている自分にご満悦のようだ。


もう自分で食べられるので、基本的に手伝われるのを嫌がる。


お着替えも然りで、手伝おうとする気配を察するやいなや


「ぃやだよぅ!こうちゃんも!」


“も”の使い方はまだいまいちだけれど、意味は解る。


自分でやると言っているのだ。


脱ぐのも着るのも上手になった。


今でもたまにズボンが前後逆になりそうな時があるけれど、自分で


「はんたーい。こっち!」


と修正するので、私は見ているだけ。


これらの成長を見ているのがたまらなく好きだ。


純粋に、すごいなあと思う。


何かができるようになる楽しさを満喫しているのを見るのは楽しい。


そうそう、上手くできない時もある。


ブロックがうまいことはまらないとか、里芋がつるつる滑ってフォークに刺さらないとか。


そんな時はやはり2歳、少しだけ癇癪を起こしそうになる。


でも私が


「できるよー。こうすればいいんじゃない?」


と押さえてやってみせると、真剣にじーっと見て、最後に


「うん」


と力強く言う。


慎重に私の真似をして、自分でできた時には、ものすごい笑顔を見せてくれる。


介護の仕事は自立支援で、ご自分で出来ることはご自分でやってもらって自信を維持してもらう。


私はこれが最初なかなか腹落ちしなくて、つい手伝ってしまっていた。


でも子育てと並行しているうちに、やっと理解できた。


逆も同じで、介護職デビューによって自立支援の概念に出会わなかったら、子どもに対しても全力でお世話してしまっていただろう。


これは基本的に出来るけど今はできない、手伝った方がいい、っていう見極めも、ストレスなく出来るようになった。


物事って上手く出来てるなあ。


子どもがあらゆる隙間にぴったりの物を探してきてはめ込んで喜んでいるのを見てからブロックを買い与え、

子どもが洗濯物を楽しそうに畳んでいるのを見てから折紙を与えるという、

いつも子ども主導の子育てになっている事に、これで大丈夫なのかなって不安を感じることはあるけれど、

のびのび育ってるし、私も成長させてもらってるから、これでいいんだろうな。


2022年2月21日月曜日

【生後663日】バランスを取る休日。【1歳9ヶ月23日】


初めて5日連続で託児に預けたら、やっぱりこうちゃんはお疲れモードになった。


実は今まで、お出かけは4日連続までと決めていて、絶対に家か家の周りでのんびり過ごす日を死守してきたの。


なぜかって、私自身が、連勤は4日までだと思ってるから。


月から金まで5日連続で働く大人も保育園に行くちびっこも学校に行く子どもも、みんなをすごいと思ってる。


私には無理。


義務感が生じちゃうんだよね。


好きでやってる事なはずが、疲れると義務に変わっちゃうの。


ハッピー感が減る。


だがしかし、この度、スケジューリングを間違えてしまったのである。


私の方は、勤務1日→学校1日→勤務3日なんだけど、

ありがたいことに勤務先の託児室が、私が学校に通えるように勤務ではない日なのにこうちゃんを預かってくれる事になっておりまして、こうちゃん的には初めての5日連続登園。


さすがに5日目は、ぽわんとしてごはんもあまり食べず、早々に

「ねんね!」

と半目で言うので、一緒にさっさと寝た。


そして迎えたのが今日。


お風呂はパパをお仕事に送り出した後で、2人でゆっくり入った。


お風呂大好きっ子だから、水遊び感覚。


お風呂シールで遊んだり、お互いを洗いっこしたり。


それからもりもりごはんを食べて、ちょっと遊んだらまた寝た。


疲れてるんだなあ。


世間の月から金まで保育園に行ってる同い年の子達はどんな感じなんだろう。


慣れなのかな。


起きたらもうお昼ごはん。


その後、こうちゃんの髪を切るために美容院に向かった。


この美容院、予約を受け付けていない。


行くと空き状況に応じて予約メモを書いてくれるシステム。


今日は、1時間後の予約メモを貰った。


その1時間は、すぐ近くの公園で遊ぶことにした。


偶然にも、同じ職場の、同じく託児室を利用しているママ職員さんに会った。


こうちゃんはお友達を見つけてとっても嬉しそう。


にこにこ近づいて行って、自分より数ヶ月ちいさい男の子にいいこいいこしてた。


しばらく一緒に遊んで、まだ時間があったので、強風で凍えた体を温めるべくこれまた近くのカフェに入った。


お会計中にこうちゃんが

「うっきゃーい🎵」

と自動ドアから走り出ていったので、私は一万円札をカウンターに放り出してダッシュ。


寿命が縮んだわ!


おちびを抱えてカウンター前までまたダッシュで

「すみません、すみません!」

と戻ると、レジのお兄さんも次に待ってるおばあさんも全然迷惑そうな顔もせずに

「元気だねえ」

「可愛いねえ」

と優しく待っててくれてて救われた。


更には、おばあさんが

「トレイ持っていきましょうか?」


なんという優しさ!


レジのお兄さんも

「いやいや、僕がお持ちしますよ」


でもおばあさんをお待たせしてしまっているので、お兄さんには一刻も早くおばあさんのお買い物をしていただきたくて

「ありがとうございます。でもすぐそこのお席に行くので、大丈夫です」

と辞退させていただいた。


カウンターのすぐ横に、1つだけ孤立したお席があったので、そこに座った。


私はコーヒーを、こうちゃんはバームクーヘンと麦茶を飲んだ。


お店を出る時、こうちゃんはさっきのおばあさんを見つけて嬉しそうに近づいて行って、最近覚えたての

「こんちゎー🎵」

を繰り出した。


おばあさんはたくさんの笑顔と「可愛いわねえ」をくれた。


美容院では、入った瞬間に

「あった!ちゅーきゅーしゃ!」

と上を指差して叫ぶ。


貴重品ロッカーの上に飾ってあるフォルクスワーゲンのトランスポルターの模型だ。


救急車に似ているのはフォルムだけで、色も全然違うんだけど、美容師のお兄さんが

「救急車?これかな?いいよ、これで遊ぶ?」

と下ろしてくれたので、こうちゃんはしっかり受け取って、遊び始めた。


カット中も、他の美容師さんが

「この車でも遊ぶ?」

と追加で2台もビートルを持ってきてくれて、こうちゃん大興奮。


店長さんがフォルクスワーゲンファンなのか。


わんこの写真集も持ってきてくれて、こうちゃんは更にご機嫌に。


カットしてくれているお姉さんのシザーバッグから勝手に櫛を抜いて自分で梳かし始めた時には、はす向かいでカラーリングしているおばあちゃんと店長さんまで笑っていた。


その後は、お姉さんから借りたミニーのボールペンでカルテを自分で書いたりと、かなり好き放題やってたんだけど、皆さん

「いいよいいよー」

「こんなにスムーズに切らせてくれる子、久しぶりですよ」

と優しくて、どうなることかと緊張していた私の気持ちを軽くしてくれた。


帰りはちょっとしたテクニックを使った。


案の定、車を離さない雰囲気。


私がお姉さんに

「上着を着せた瞬間に私がミニカーを握らせるので、間髪入れずにワーゲンを取り返して下さい。そしたらさっと出ちゃいます。今日は本当にありがとうございました」

と囁くと、お姉さんは

「なるほど!わかりました!」

と答え、初対面とは思えないほどの連携で実行した。


こうちゃんは手の中のお気に入りの救急車とお姉さんの手にあるワーゲンを交互に見ながらも

「ば、ばいばーい」

とご挨拶していた。


ほっ。


私はさ、心のどこかで、みんなが優しくしてくれるのは赤ちゃんの時だけだと思ってたんだよね。


今くらいの、ちょっと騒がしいし走ったりするようになったら、迷惑がられてばっかりになるんじゃないかって、怯えてた。


でもまだ変わらず、世界は優しい。


こうちゃんに優しいだけでなく、お母さんである私にも優しい。


世界は優しいんだよ。


2021年11月12日金曜日

【生後560日】脱走犯とおばあちゃん【1歳6ヶ月12日】


1歳半ともなれば、色んな事が出来るようになる。


例えば、スーパーのアンパンマンカートからの脱走。


今までもまあおとなしく乗っていたとは言えない。


なんたって好奇心の塊ですから。


色んな物に手を伸ばしまくりで、阻止できなかったものについてはもれなくお買い上げ。


気づいたら小麦粉の袋をしっかり抱えてたりする。


しかしママも同時進行で成長するので、すっと進路をずらしたりしてこちらの阻止スキルも上がってきて、けっこう油断していた今日。


レジが終わって、かごからお買い物袋に食材を移している時に、こうちゃんがしれっとカートから降りて歩き出そうとしていた。


「あ、僕ここで」


と同乗者に告げてタクシーから降りる会社員さながらに、それはもうナチュラルに降りていた。


「あっ!」


と言いながらこうちゃんに手を伸ばしたら、袋からほっけがパタンと落ちてまた


「あっ!」


なんて言っていたら、急におばあちゃんが現れた。


「あら僕?どこ行くのかな?」


おばあちゃんはそう声をかけながら、近くにあったチラシホルダーからチラシを1枚取り、


「これ、見る?」


こうちゃんはなぜかアンパンマンカートの椅子にお行儀よく座り直してから、おばあちゃんが差し出したチラシを受け取った。


「すみません、ありがとうございます。」


と私が言うと、おばあちゃんは解ってますよといった顔で笑って


「今のうちに詰めちゃって」


と言ってくれた。


私が急いで苺やら何やらを袋に全部詰めている間、おばあちゃんはこうちゃんとチラシを見ながら


「葡萄よ。おいしそうねえ。葡萄は好きかな?」


なんて話しかけてくれていた。


こうちゃんは自分もチラシを指差してみたり、おばあちゃんが自分用に取ったチラシを欲しがって取りかえっこしてもらったりしていた。


楽しそうである。


「終わりました!すみません、本当に、ありがとうございます」


私がお礼を言うと、おばあちゃんは


「いいのよー。歩きたい盛りだものねえ。ほんとに可愛いわねえ」


と笑顔でこうちゃんをいいこいいこして、


「じゃあね、気をつけてね、バイバイ」


と去っていった。


こうちゃんも手を振ったので、おばあちゃんは誉めてくれた。


や、優しいーーー!


というか、こういう優しいお年寄りがいすぎてびっくり。


私もこういうばあちゃんになりたい。


2021年9月23日木曜日

【生後510日】ついに憧れの『スーパーで大の字』が実現したのだが、、、【1歳4ヶ月23日】


知ってる人は知っている。


私がスーパーで大の字になるちびっこに憧れていたことを。


妊娠中から、早くあれを体験してみたいものだとワクワクしていた。


体いっぱいの真っ直ぐな自己主張、私は子ども時代には親が厳しくて出来なかった。


私の子どもは、それが出来るんだろうか。


私に性格が似てたら、しないだろうな。


性格は、パパに似てほしい。


あれこれ難しく考え込まない性格。


それでいつかスーパーで大の字になってほしい。


そう願っていたら、ついに来ましたよ、スーパーで大の字の日が!


正確には、スーパーの駐輪場で、だけど。


なんでそうなったかと言うと、こうちゃんは今、歩くのが楽しい時期。


お外に行く、それすなわち広い所を歩き回れるという認識のよう。


だから外出する時は、まず玄関周りで草を見たり野良猫を見たりと楽しませてからじゃないと、自転車やベビーカーに乗ってくれない。


この時は、スーパーでお買い物を済ませた後で、かなり広い駐輪場をよちよちとご機嫌で歩き回っていた。


アンパンマンの自販機があるので、そこに近づいてみたり、色んな自転車を近くまで行ってよーく眺めたり、思う存分歩き回ったはずだった。


だがしかし、いつまでもそうしてはいられない。


私の買い物袋の中には、ぶりが入っているのだ。


もう帰った方がいいだろう。


そう思って、


「こうちゃん、そろそろおうちに帰ろ。自転車乗ろう」


と声をかけたところ、私を振り切って駆け出した。


追いついて抱き上げようとしたら、来ましたイナバウアー。


& 蹴り。


那須川天心かなってくらいの強烈なキック。


しばらく追いかけっこが続いて、そろそろママも本気出しちゃおうかなってタイミングで、空気の変化を察したのか、突如こうちゃんが、地面に大の字になった。


さっきまでの「うっきゃーーい❤️」なんて声もなく、無言で大の字になり、じろっと私を見ている。


抱き起こそうとしたら、全身に力を入れて大の字をキープ。


な、なにいっ?!


でも残念だったなおちびちゃん、ママは老人ホームで全身拘縮のお年寄りを移乗しまくっているのだよ。


それに比べたら小さなあなたなど簡単さ。


、、、と思ったんだけどねえ。


なかなかどうして、難しかった。


絶対にまだ自転車には乗らん!という鉄の意思を瞳に宿らせた1歳児は、全力で踏ん張っていて、


「ほら!意地張らないの!自転車乗ろう!おうちでアンパンマンのりんごジュース飲もうって!こうちゃん!」


というママの叫びが空しく響くばかり。


通りすがりのおばあちゃんから


「ママ、頑張って!」


とエールを送られながら数分間格闘することになった。


なんて頑固なの!


テコでも動かないじゃないの!


思ってたのと違うし。


思い描いていたのは、「やだー、ママー、これ買ってー!」なんて叫びながらの可愛い大の字だったんだけど、

まさかの、無言。


これでどうだ!みたいな表情で私を見つめながらの大の字。


動かせるものなら動かしてみろ!みたいな。


これは筋金入りの頑固さんだわ。


まるで、、、まるで私。。。


性格、まさかの私似なの?!



2021年8月7日土曜日

【生後464日】こうちゃん トイレットペーパーと出会う【1歳3ヶ月8日】


今朝、出掛ける前の最後の作業で、保育園との連絡帳に体温を書き込んでいた時のこと。


ふと気づいた。


こうちゃんの気配がない。


耳を澄ますと、どこからか

「んふー❤️んふー❤️」

という圧し殺した喜びの息遣いが聞こえてくる。


これは良くない兆候だ。


トイレに目をやると、ドアが半分だけ開いている。


おやおや。


「こうちゃん?」


声をかけると、んふーがぴたっと止まった。


私が立ち上がりテーブルを回ってトイレに向かうと、

すっとんぱったんすっとんぱったん

というこうちゃん特有のはいはいの足音(手音かもしれない)をさせて、

新品のトイレットペーパーを片手にこうちゃんが這い出てきた。


「これはママにちょうだい」


と言ってトイレットペーパーを取り上げたが、全く抵抗しない。


「んふー❤️」


こうちゃんはにんまりすると、余裕の表情でUターンし、トイレへ戻っていく。


いやな予感に全身の毛穴が開いた。


「こうちゃん?!」


「んっきゃっ🎵」


私がトイレに飛び込むと、こうちゃんが誇らしげに、水でびちゃびちゃの使いかけのトイレットペーパーを掲げたところだった。


ひぃっ…


今どこからそれ出した?!


掲げたトイレットペーパーを大胆に床に放り投げると、便器を覗き込み、同じく使いかけで水浸しのトイレットペーパーを引っ張り上げ、私によく見えるようにとでも言わんばかりに高々と掲げた。


びしゃびしゃと水が滴ってこうちゃんを濡らしている。


最悪だ。


「こうちゃん!いけません!きたな…」


こうちゃんはビクッとし、慌ててしゃがみこむと、先程放り投げた方のトイレットペーパーを拾い上げ、勢いよく便器の中へ投げ込んだ。


水しぶきが上がった。


そして振り返ると、

「どう? ぼくすごいでしょ?」というキラキラの笑顔で私を見上げた。


★★★


出掛けのトラブルは本当に厄介。


何とか荷物とこうちゃんを自転車に放り込み、しゃかりきに自転車をこいで無事にパート先に滑り込んだ。


いつもより2分遅い到着だけど、よくやった方だと思う。


育児1人目にしてはかなり冷静かつ迅速に対応できたんじゃないかな。


いつの間に掴んだのか全く判らないおままごとのまな板をこうちゃんの手からそっと奪うと、私はこうちゃんを保育士さんに託した。


帰りに保育士さんが、今日もまた言った。


「いやほんとに、こうちゃんは全く手がかからないですよ。本当にいい子で。」


私もまた、言った。


「この子が、ですか? 信じがたいんですけど…」



2021年7月24日土曜日

【生後450日】母子それぞれ素晴らしい体験【1歳2ヶ月24日】


ママが色々考えた末に始めた2つ目のパート。


そこは老人ホームで、施設内の保育ルームがこうちゃんを預かってくれる。


理由は聞いていないが、いつも保育士さんがびっくりするほど多めに出勤してくれているので、安心この上ない。


保育ルームにいる子達は、今まで多くても4人だったのだが、今日お迎えに行ったら驚いた。


10人もいた。


土日祝は預かりが多いと聞いていたが、目にするのは初めてで、その賑やかさにびっくりした。


保育士さんも5人はいた。


真ん中で、こうちゃんが2歳くらいの初めて見る女の子とおもちゃで遊んでいた。


別の4歳くらいの女の子が、私に駆け寄ってきて、


「こうちゃんのママなの? こうちゃん可愛いね!」


と言って、なぜか私をいいこいいこしてくれた(笑)


この子も初めて会った。


いつも一緒になる子達も勿論いて、みんな楽しそうだった。


帰るからみんなにバイバイしようねと言ったら、こうちゃんは嫌がって泣いた。


楽しかったんだねえ。


おにいちゃんおねえちゃんがいっぱい出来たみたいで嬉しいね。


普段にこにこでおりこうさんらしいので、泣いているこうちゃんに保育士さんたちもびっくり。


まあ、切り替えの早い子なので、すぐに泣き止んでくれたけど。


帰りに事務室によって退勤処理をしようとしたら、私のいるフロア担当の理学療法士のお姉さんが出てきた。


「今日、うちの子達も兄妹でいたの!」


「えー、そうなんですか!どの子だろ?」


「いちばん大きい男の子と、2歳のおかっぱの女の子」


「あ、こうちゃんと遊んでくれてた子かも!」


そんな会話をしていたら、これまた私のいるフロア担当の看護師さんがやって来て、こうちゃんをぷにぷにしながら


「うちの子もいたよー🎵うちは女の子。よく喋る子いなかった?」


私をいいこいいこしてくれた女の子が思い浮かんだ。


「わかるかも。私に話しかけてくれた元気な女の子いました!」


「それかもー!どんな服だった?」


看護師さんが一瞬でこうちゃんを攻略し、こうちゃんは自ら看護師さんに抱っこされに行ったので、その隙に私は退勤処理を済ませた。


振り返ると事務の女性も合流して、こうちゃんはまた賑やかな中にいた。


一応待機児童なんだけど、これはこれで、素敵な環境だな。


皆さんとさよならして従業員通用口を抜けるまでにも、調理の女性たちや清掃のおじいちゃんたち、ドライバーの男性たちからも


「バイバイ。またね」


と言ってもらえて、ここに来るとこうちゃんは色んな年代の人たちと接することが出来るので、ママはとても嬉しい。


ママの方はというと、ちょっと状況が変わった。


皆さんに優しく受け入れてもらった時期を経て、資格も経験もないけどとにかく真剣にお仕事に取り組んでるのを見てくれて、少しずつやらせてもらえる仕事が増えてきた。


利用者さんたちも名前を覚えてくれて、リラックスして介助をやらせてくれるようになった。


最初はつらい時もあった。


私という見知らぬ人間がいる事によって、利用者さんが

「すみませんねえ。昔は何でも自分で出来たんだけど、、、恥ずかしいわ」

なんて口にするのが。


いるだけでそんな気持ちにさせてしまう私って、、、って思って、

でも見学しないことには覚えられないから仕方がなくて、

少し苦しかった。


心臓がぎゅってなってる状態で、

「ごめんなさい。早く上手になれるように、頑張ります」

って言ってた。


スタッフの人たちは、私が介護業界未経験なので、ショックを与えないようにしようとして、あまり実戦に挑ませてくれない。


1回やって、3回休み、みたいな。


利用者さんたちの気持ちに合わせてゆっくり進むのは理解できるけど、

私のショックは考えてくれなくて大丈夫なのにな。


そんなもどかしさがあった。


でもそんな色々を経て、少しずつ進んでる。


利用者さんたちも、色んな話をしてくれるようになった。


今までのどのお仕事とも違う独特なペースで進んでる。


変に足掻くことをせず、この新しいペースに素直に乗ろうと思っている。


帰ってきてから、保育士さんからの連絡帳を開いたら、折り畳まれた紙が挟んであった。


毎月のお便りで、この前のレクリエーションの時の子ども達の写真がいっぱい載っていて、アイスクリームを食べているこうちゃんの写真もあった。


来月のレクリエーションやお歌の予定も載っている。


いちばん下に、『今月から新しいおともだちが来ました!』というタイトルで、こうちゃんを紹介してくれていた。


大切に預かってくれて、毎回楽しく過ごさせてくれて、、、

私も新しい世界を学べて楽しくて、

本当にここに出会えて良かったなあ。