レストランが閉店する。
それはいつも少し寂しい気持ちになる知らせだ。
私はレストランサイドの人間だから、尚更なのかもしれない。
しかも、自分の働いているレストランが閉店した経験がある。
お客様に閉店の報告と今までの感謝を伝える電話をかけ続け、
マネージャーと向かい合わせに座ってお手紙を書き続けた最後の日々は忘れられない。
閉店し、それに伴い退職した後も、心配してくださるお客様からのメールに返信する日々が続いた。
レストランは、それ自体が生き物のようなのだ。
だから、命を絶たれた心持ちであった。
今後の事など考えられずに、ハローワークに行く気力すら湧かなかった。
行ったけど。
あれは、私が一人暮らしだったから行けたんだな。
逆に家族がいたら、泣いて寝てばかりだったと思う。
一人だったからこそ、私を守るのは私しかいないと思えた。
スタッフがバラバラになることも、家族が引き離されるような気分だった。
二度と経験したくないし、できれば誰にも経験してほしくないと、
強く思った。
コロナ禍により、飲食業界は大きなダメージを受けた。
そんな中で臨月を迎え、出産し育児に突入した私は、今は外では働いていないが、たくさんのレストランが消え行くであろう未来を思うと、居た堪れない思いでいた。
でもついに、私のよく知っているお店が閉店する事になってしまった。
コロナで売上が立たなくて潰れました、という単純な図式ばかりではない。
回り回ってで、元を辿っていくと原因がコロナ、というパターンもある。
思い出がたくさんあるお店だ。
最初は勉強のために通って、顔見知りができて、
困った時に電話して助けてもらった事もある。
何なら、ヘルプで働かせてもらった事もある。
働いても、お客さんしに行っても、楽しいお店だった。
私が働いているお店に食べに来てくれたし、
私が働いているお店が出店しているイベントにも来てくれて、
そのうちの一人とはその数年後に偶然一緒に働く事になった。
友達も連れていった。
後輩も連れていった。
夫も。
仲間のようでいて、目標でもあった。
好きなお店だった。
これからも行きたかった。
突然決まって、信じられなかった。
ところで、良いお店の共通点って、知ってますか?
看板娘がいる事なんですよ。
若くなくてもいいんだけど、例えばお好み焼き屋さんのおばあちゃんとかね。
店の一部と化している女性スタッフがいるお店は
良いお店です。
業界のベテランからそう教わった私は
このお店に、いつもある女の子を見に行っていた。
私自身も、スタープレイヤーになろうとは全く思わず
(男の子はなりたがるよね)
お店の一部であれと願っていた。
当たり前だけど、完璧な人間なんていないから
絶好調な時ばっかりじゃないよ?
でも彼女は、いつもお店の一部と化していた。
いる日といない日とでは、全然違った。
だから、彼女がいる日は嬉しかった。
ずっと、長い間、ありがとう。
8年くらいかな。
いつも美味しかったし、楽しかった。
ありがとう。
お疲れ様でした。
あなたは、素晴らしい人よ。
活躍している姿をまた見たいから、応援しているけれど、
焦って変なところに移籍しないようにとも願っています。
ながーい目で見て、幸せな人生であれば
ちょっと不調な時期があってもノープロブレムだよ。
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